イヤホン By : 22.08.2922.08.29 いつか自分もやるかもなと思っていたら。ホームドアの隙間に吸い込まれていく瞬間は、まさにスローモーション。落ちどころも悪かったのか、駅員さんの捜索の甲斐もなく、とうとう見つからず。 手元に残されたのは、相方とホームを求めてピコピコ明滅させていた右耳。そんな健気で所在なげなミギーをどうすりゃいいのか。 しばらくするといよいよへんじがない。ただのしかばねのようだ。 あれからひと月。いまだ捨てるに忍びず。ただのおきもののようだ。