三月二十九日、雪

うそやろ?

週末、外出の自粛要請もあって例年の花見の賑わいはない。かわりに満開の桜を覆ったのは季節外れの雪だった。期待した感動もなく、冷たくどこか悲しげな光景。翌日、雪はとけて再び花びらが舞い出すなか、花が、花ごとぽとぽと落ちていた。

志村けんさんが逝く。新型コロナウイルスによる肺炎。

子供の頃から笑かしてもらってた。あたりまえのように。全員集合、カトちゃんケンちゃん、だいじょぶだぁ、バカ殿、最近でも何気なく深夜テレビをつけるとコント番組をやっていて、何十年経ってもかわらず、安心して笑ってた。もう無意識に、いつまでも笑かしてもらえると思ってた。そんなわけないんだよ。でも唐突すぎるよ。こんなときこそ、いつものように笑いたいのに。

あんなに世の中を賑やかにしてきた人が、最期は誰とも会えなかったのかと思うと、ただただ悲しい。コロナが憎い。そして怖い。

ぼんやりして、テレビをつける。避けていたSNSを覗く。驚きや哀悼の言葉があふれている。ウンザリする意見もやっぱり。懐かしいコント映像にプッてなったり。いいね!がたくさんついてたり。たくさんの名残惜しむ声で、あらためて世間が賑わっているようにも感じます。すごいなあ。

どうか安らかにお眠りください。